自分の相続放棄をしました

親の借金は子供が払う必要はありません

業者が自宅まで押しかけてきて、「お父さんの借金を払ってくれませんか?」「親子なんだから、払うのが筋でしょう。」「誠実に対応してくれませんかねえ。」と言われたという話は、仕事柄、よく聞きます。

結論から言いますと、お父さんがまだ生きていらして、あなたがお父さんの借金の保証人・連帯保証人になっていない限り、お父さんの借金を払う法的義務はありません。

亡くなった親の借金を払いたくない場合

しかし、親が借金を残してなくなった場合、相続人である子は、原則、借金も含めて、親の遺産を相続することになります。

では、亡くなった親の借金を払わなくてすむ方法は無いのでしょうか。いえ、あります!相続放棄をすればよいのです。

相続放棄の手続をすることにより、借金を相続しなくてすみます。(しかし、プラスの財産も含めて、すべての財産を相続できなくなりますが。)

実は、私も相続放棄をしました

実は、私、親が亡くなった時に相続放棄をしました。「うちの財産は、3人の子供だけよ。」というのが母の口癖だったので、隠し財産があるようには思えなかったし、一方、借金があるようにも思えなかったのですが、「リスクをなくす」という意味で、兄弟揃って相続放棄をすることに決めました。

相続放棄の手続で面倒な戸籍などの取得を、弁護士の私が行い、それ以外の手続は、兄・妹・私がそれぞれ自分で行いました。

後述する「3カ月」の期間内に行う場合は、相続放棄は、そんなに難しい手続ではありません。

相続放棄の留意点

相続放棄の留意点は、主に三つです。①自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に相続放棄の手続を行わなければなりません(民法915条)。②相続財産の全部もしくは一部を処分すると、その後、相続放棄をすることが出来なくなります(民法921条)。③相続放棄の手続の後に、相続財産を隠したり、消費したりすると、相続放棄が認められなくなります(民法921条)。

3カ月を過ぎてしまった!相続放棄はできないの?

上の①に書きましたとおり、民法の規定上、相続放棄が出来るのは、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内です。そのため、民法の規定を熟知した業者は、親の死亡後3カ月が経過してから、子供のところに借金の取り立てに行くそうです。恐ろしいですね~。実際、そのようなケースを私も扱ったことがあります。

では、そのような場合、あきらめて、親の借金を払わなくてはいけないのでしょうか。こういう時は、相続に詳しい弁護士にすぐに御相談なさってください。特別な事情が認められる場合には、3カ月を過ぎても相続放棄が認められる場合があります。

これに関係する最高裁判所の判例があるのです(昭和59年4月27日最高裁判決) 。相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて、その相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において上記のように信じたことについて相当な理由があると認められるときには、相続放棄の熟慮期間(つまり、上述の「3カ月」の期間のことです。)は、相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうるべき時から、起算すべきというものです。

相続のことは、躊躇せずに早い目に弁護士に御相談を

今回のテーマの相続放棄もそうですが、相続の手続は、期限があるものが多いです。御心配なことがあれば、躊躇せずに、早い目に弁護士に御相談することをお勧めいたします。