離婚調停 父親が親権をとった例

離婚時の親権者の状況 母親有利?父親不利?

裁判所のウェブページの離婚に関する統計資料(平成28年度のデータ)によると、離婚の調停や審判の結果、母親が親権をとるのは9割以上、父親が親権をとるのは1割以下のようです。圧倒的に母親が有利、父親が不利のようです。

実例 素人二人で頑張った

では、実際のところ、離婚調停で父親が親権をとるには、どのくらい頑張らないといけないのでしょうか?

実は、私が人生で初めて関わった生の法律問題というのは、兄が離婚調停で親権をとったというものなのです。

(基本、このホームページのコラム欄では、具体的な事件の話はしませんが、今回、特別に、兄に了解をとって書くことにしました。)

それは、私が弁護士になる前の話です。兄から、「離婚の調停をやろうと思うのだけれど、娘二人の親権が欲しいんだ。」と相談されました。弁護士になる前だから、もちろん無料で、身内として相談にのりました。

私は、「親権って母親が有利だよね?仕事しながら、子育てできるの?ごはん、どうするの?保育園の送り迎えは?そもそも、娘2人は、ママのほうが好きなんじゃない?」と機関銃のように、兄を質問攻め。兄のために相談にのっているどころか、むしろ、兄に疑問の念をぶつけてしまいました。なぜなら、成人した兄のことより、幼い姪二人が幸せになれるかどうかのほうが、私には心配でしたから。

それに対して兄の回答は、「ずっと、俺が保育園のお迎えに行っている。」「休みの日は俺が公園に連れて行く。二人とも体を動かすのが好きだから、パパと遊びたがる。」「社長に相談したら、子供が熱を出したら、社長の家でみてくれると言っている。」(社長は私達の叔父です)「料理はヨシケイを利用する」(ヨシケイとは、毎日自宅まで夕食の食材を配達してくれるサービスです。)などなど、一生懸命反論するではないですか。子供の頃の兄からは想像できないほど、立派な父親になっていました。

それで、二人で考えて、裁判所には、収入や就業状況を示す資料以外に、次のような資料を出しました。

  • 保育園の手帳(お迎え予定の人の記載欄をみると、確かに兄がお迎えに毎日行ってました。)
  • 公園で一緒に遊んでいる写真多数
  • ヨシケイのメニューのパンフレット(ヨシケイ社も、まさか自社のパンフレットがこんな所で利用されているとは知らないでしょう!)
  • 実際に兄がヨシケイで料理した写真
  • 社長からの一筆
  • 母からの一筆(「孫が病気の時は泊まり込みで行きます」みたいなもの)
  • 兄の書いた意見書(量で勝負しようと、長い意見書を書きました)

「保守的な田舎なので、難しいかなあ~」と心配していたのですが、長い論争を経て、無事に兄が親権者になりました。兄からは、「最初に、お前から厳しいことを言われたけれど、その後の調停で、まったく同じことを調停委員に言われた。おかげで、予行演習になったよ。」と感謝されました。

今から振り返ってみると

弁護士になった今から思うと、親戚の手助けが期待できる状況にあったことに加えて、兄が私に早い段階で相談してくれたことが良かったのだと思います。私が法学部を出て法律の知識を少し持っていたこともありますが、何より、私が、本音で、「お兄ちゃん、本当に子供二人育てられるの~?」と、歯に衣着せずに、どんどん質問攻めにして、兄がそれに対して一生懸命反論していく中で、「調停期日で何を強調して話せばいいのか」、「どのような資料を提出すればいいのか」が明らかになったのだと思います。

身内を安心させることができるだけの材料が揃えば、調停委員も説得できると思います。