「ご相談はお早めに」はナゼ?

「ご相談はお早めに」はナゼ?

弁護士の宣伝のホームページを見ると、必ずと言っていいほど、「お早めにご相談にいらしてください」と書いてあります。そもそも、弁護士も、集客目的でホームページを制作しているわけですから、「是非、うちの事務所に相談に来てください」と呼び掛けるのは、当然と言えば当然です。

しかし、弁護士の場合、ポイントは、そこではないのです。「早い目に」というのがポイントなのです。弁護士が「早い目に」と強くお勧めするのには、理由があるのです。いくつか、分かりやすい例を示しますね。

消滅時効がある

請求権は、一定の期間が経過すると、時効により消滅してしまいます。例えば、飲み屋のツケは、1年で時効にかかってしまいます。時効にかかる前に、何らかの法的な対応が必要です。

(なお、2020年4月1日の民法改正により、時効の規定が大幅に変更になりますので、ご注意ください。)

離婚の場合の証拠の収集

慰謝料、養育費、子の親権、財産分与など、離婚に伴い、解決しないといけない問題はいろいろあります。調停や裁判になった場合、事前に証拠を集めておくことが非常に重要です。

大げんかになって、子供を連れて別居してから、弁護士に相談にくるという方もいますが、別居後では、証拠収集に限界があります。同居しながら、表面上は取り繕って、相手を油断させて、証拠収集に全力を尽くすというのも手です。

相続放棄

親が巨額の借金を残して亡くなったという場合に、相続放棄は、非常に重要な防御手段です。しかし、相続放棄は、原則、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に手続を行わなければなりません(民法915条)。3か月を過ぎてしまった場合にも、特別な事情があれば相続放棄が認められることもありますが、いろいろと厄介ではあります。

交通事故も

交通事故について受任した場合、現場の状況の確認が重要ですが、数か月たつと、現場の状況が変化してしまうことがあります。交差点での衝突事故の場合、交差点の見通しが重要になることがありますが、季節が違うと木が茂って、交差点の見通しが全く異なることがあります。また、交通標識が変更になってしまう可能性もあります。近くの防犯カメラの映像も数週間で消えてしまいます。

事故直後であれば容易にできた、現場の状況の確認や証拠の収集が、時間が経つと、難しくなってしまいます。

関係者の記憶が薄れます

裁判になった時に、第三者の証言が重要になることが多いです。しかし、人間の記憶は、すぐに薄れます。事件の直後に、証人の候補者とコンタクトをとって、書面を作成したり、証言を録音するなどの記録化をする必要があります。

しつこいようですが、お早めにご相談にいらしてください